好きな本と一杯のコーヒー

増えてしまった本の整理をかねて、好きな本・気になった本やものごとの感想を、コーヒーやお茶を飲みながらボチボチ書いています。

私にとっての<ハゴロモ>

よしもとばななさんの<ハゴロモ>という本を手に取って見た時に、最初に思い浮かんだのが、秋葉山にある天女のハゴロモの彫り物です。

 

私にとって<ハゴロモ>といって思い出すのは、いつも秋葉山の天女のハゴロモです。

 
本の内容よりも、その言葉でふと思い出した記憶の中のハゴロモに、しばらく心を奪われていました。
そんな感じで購入した<ハゴロモ>なんですが、本を読み始める前に、きっかけになった天女のハゴロモを見に秋葉山に行ってきました。
 
秋葉山にある秋葉神社は、火の神様を祀っている神社で、火興しの神様(火防の神様)として有名です。
山のふもとにある方が下社、山頂にある方が上社と呼ばれています。
その中腹には、秋葉寺が有って、こちらは火を沈めてくれる場所のようです。
 
秋葉神社上社の方は、むかし火事で焼けてしまったこともあるそうです。
 
 
子供の頃、学校の遠足で行ったときに、確か先生が天女のハゴロモの彫り物がある由来とか誰の作品かとか。。。その前で、みんなを集めて説明してくれたように記憶しています。


 

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繊細でキレイなその天女さんの彫り物は、江戸時代のものだという、古い山門の正面にあります。
 
当時は、左甚五郎が彫ったものと聞いたように記憶してますが、神社の方に伺ったら、名工の彫ったもののようですが、誰かまではわからないようでした。
 
何十年たっても変わらず、ひっそりと佇む山門の正面に、静かにそこにいる天女は、飛んでいってしまわないようにと網が張られています。
子供の頃と変わらないその光景に、安堵しながらも、それ以上にやりきれないような、切ない悲しさを感じました。
 
その天女は、長い歳月の間に色もほとんど剥がれてしまい、表情もうまく読み取ることは出来ませんが、彫り物なのにあまりに美しく繊細で、網を外してしまったら、本当に舞い上がって行ってしまいそうで…。
だから、どれだけの長い時間を網に囲まれているのかと思うと、そのハゴロモの天女がいたく哀れに思えてきました。
表情は読み取れないのに、切なさや哀しみが伝わってくるのです。

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が、あらら。。
久しぶりに会ったその天女には、大きな美しい羽(翼)がありました。
これは今まで気付いていませんでしたね。
よく見ると、西洋の絵画によくある天使や女神の背中についているのとそっくりです!
 
 
なんだか、スゴい事のように思えてきました。
江戸時代に、そういう絵画って見ることが出来たのかな?
天女は天使と同じってことかな?
江戸時代って鎖国だったから、天使とか大丈夫だったのかな?
 
などと、思いが錯綜します。
 
よくよくその大きな美しい羽(翼 )を見ていると、覆っている網などいつでもひと羽ばたきではずせちゃうのよ!と、言わんばかりの力強さを感じさせてくれます。
 
なんだぁ、いつでも飛んで行けるんだね。。。
なんて、ちょっとホッとしている自分がいました。
50代になっても、そんなこと真剣に思っている自分に呆れますが。。(苦笑)
 
 
なぜ、そこにハゴロモの天女の彫り物があるのか。。。
まるで忘れ去られたかのように、誰も話題にしないのはなぜか。。。
 
でも、そんな忘却の時間にそっと当たり前にたたずんでいる山門は、とても大切なものに感じました。

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このまま、そっとしておいてね!って言われているみたい。
 
ここに書いちゃいましたっけ。。やいやい(-_-;)
 
肝心の「ハゴロモ」の感想は、また後日で。。。

 

ハゴロモ (新潮文庫)

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