大人の恋愛小説「マチネの終わりに」を読んでの感想
数ヶ月前に、吉本ばななさんのエッセイとともに購入し、小説という最近ハードルの高さを感じている種類ゆえに、そのままになっていた「マチネの終わりに」をやっと読み終えました。ほぼほぼですが。
気軽に感想を書けないなと思ったのが、最初の感想です。
小説を読むには、集中力が持たなくなっているアラフィフ50代の私ですが、タイトルに惹かれて読んで見ようと紀伊国屋新宿店で購入しました。
せっかく紀伊国屋に行ったからという、雰囲気もあったかな。。
なんじゃそれ?かもね。
平野啓一郎さんという小説家の存在を知りませんでした。
すみません。
タイトルについては、感想になるのか?
良いタイトルですね。
そして、タイトル負けしていない内容でした。
ただ、今まで読んだ小説とは、類が少々違うのかなと感じました。
難しい表現方法であったり、専門的な説明も、まだまだ荒削りだと感じさせる文章表現も、もしかしたら才能の一部なのか?‥と戸惑うほどに、感情表現の引き出しの多さと深さには、ちょっとドキドキするものがありました。
きっと、現在進行形の恋をしている人にとっても、昔そんな恋をしたことがあったなという人にも、心がざわつく文章表現であり、胸の奥に痛みを感じるような物語なのではないでしょうか。
今まで、人生で変わらないことは、<過去>と<変わるという事実>の2つだけだと信じて疑ったことが無かったのですが、この本の一文が心に残りました。
「未来は過去を変えているんです。‥‥過去は、それくらい繊細で、感じやすい‥」
(平野啓一郎著「マチネの終わりに」より引用)
そういう部分もあるかも知れないなと、戸惑いながらも、共感している自分がいました。この一文に、そんな表現の出来る著者の才能の一端を垣間見た気がしました。
この小説は、読む人にとって、一文一文を色々な風に自由に感じられ、自由に解釈して思いを馳せられるような、不思議で、魅力的な一冊だと思います。
一概に、素晴らしい本です!というには違和感を感じる、なんといっていいのか正直わかりませんが、何かが重く心に残っている小説です。
そして、人生の不思議なあやと、人の持つ善良な良心を信じたいという想いで最後まで読みました。(途中、一度読むのを放棄しましたが。。苦笑)
ここは、書いちゃっていいのかな?
最後は、ちょっとだけ救われた気がしましたが。う~ん。。。
文中に、リルケの「ドゥイノの悲歌」という本が出てくるんですが、その本をチラチラと見ながら、「マチネの終わりに」を読むと、より深く読めるのでは。
今からでも、ちょっと読んでみたいなリルケのその本。
私に理解できるかな?
でも、ちょっと気になります。
という訳で、言いたい放題の感想を書いてしまいましたが、なんだか不思議でかなり深いと感じる一冊でした。
そして、胸がどきどきする恋愛小説でした。
あ~、ゆっくりコーヒー飲もっと!