好きな本と一杯のコーヒー

増えてしまった本の整理をかねて、好きな本・気になった本やものごとの感想を、コーヒーやお茶を飲みながらボチボチ書いています。

静寂の詩人ヴィルヘルム・ハマスホイの画集を見て

ヴィルヘルム・ハマスホイ

160年ほど前に生まれた静寂の詩人と呼ばれるデンマークの画家

 

私は最近まで、その存在さえ知りませんでした。

 

 

 

意外と絵を見るのはけっこう好きなのに。。

ルーブルにも、オルセーにも行ったことがあるのに。。

フリーダ・カーロとか、ジョージア・オキーフとか知っているのに。。

 

ちょっと絵に詳しいふりをしてしまいましたね(恥ずかしい)

 

好みの問題やそれほどに画家と言われる人たちは数多くいるのでしょう。

 

恥ずかしいことに、本当に最近まで知りませんでした。

 

ぱっと見、地味に感じるその絵画は、

繊細で精密に描きこまれた深さと静寂を漂わせています。

 

地味や暗いことがまるで悪い事のように思い込んでいた私に、

それはそれで個性だから問題ないんじゃないの!

と、さらっと教えてくれたありがたい画集です。

 

この年になって、初めて地味な絵が個性だと理解できました。

なんのこっちゃ。。。ですね。

 

絵をかくことが意外と好きだった小学生の頃の私!

そんな小学5年の頃の話です。

外で絵を描く授業の時、それぞれの場所に先生が見に来てくれていました。

それぞれ好きな場所で書いていた記憶があります。

何を言われるか、ちょっとドキドキしている私に

先生は「絵はうまいけど、色が暗いね!」と。。。

「。。暗い!!!」

その言葉だけが、胸に突き刺さりました。

「暗い!=だめだ!」と感じた私は、それ以来、

どうやって色を付けていいかわからなくなり、

ますます色を選べず、なぜかもっと暗い色付けになっていきました。

 

その後、中学に入ってもますます色は暗くモノトーン度合いが強く、

絵を描くのは好きなのに、自分ながらにどんどん暗さに拍車がかかっていったのを

なんとなく覚えています。

 

今ではすっかり絵も描かなくなり、いまだに色選びは苦手かもしれません。

考えてみれば、すごいトラウマですね。。。

 

だからでしょうか、この画集を見て、暗くてもモノトーンでもいいんだ!!

と、妙に腑に落ちました。

 

ハマスホイの絵は、暗いというよりも、モノトーン調でとても落ち着いた

静かで深みのある作品です。

静寂の詩人と言われる所以でしょう。

 

小学生の自分に

「暗くてもいいんだよ!それが個性だから。。」

「よく描けているね。それでいいよ。」

と、声をかけてあげたい気分になりました。

 

その人らしさの大切さを、改めて教えられた素敵な画集です。

 

ポジティブな時には、素通りしてしまいそうですが、

少し心が弱っていたり、ちょっと元気のない時には

無理に元気にならなくても、そのままの気分でいいんだと、

その絵たちは教えてくれているように感じます。

 

今の私が、ちょっと元気のない状態ということかもしれませんね。

 

まぁ、それはそれで良しとしましょう!

 

ということで、温かいコーヒーでも飲みましょうか。。