村上春樹さんの本は苦手です。
村上さんが嫌いということではないですよ(^_^;)
常に時の人であると思う村上春樹さんが話題になるたびに読んでみたいとチャレンジしています。
しかし、必ずや途中で挫折してしまいます。
途中というほどにも読めずに、だいたい5ページまでは行かないくらいしか読み進められません!
なぜに。。。
それは、村上春樹さんの文章を読んでいると、いつも途中で空気の歪みを感じるからです。
ぐわんって。。。
まるで車酔いをするように、その文章から漂う歪む何かに酔いを感じて気分が悪くなってしまうのです。
そんな苦手な村上春樹さんの映画化された〈ドライブ・マイ・カー〉を読んでみました。
短編という手があったか !
と、小説の短さに感謝しながら読み進めました。
しかし最初から諸々の説明や理屈が多いところもけっこう苦手です。。。まずい!
まだ空気が歪んでいないうちから苦手意識が出てしまった~😥
しかし、これは短編!
このくらい何のその。。です。
そうして読み進むうちに、何というか、久しぶりに現実とは違う小説の世界に引き込まれている自分を感じました。
特別な冒険でも恋愛でも、ドラマチックというわけでもない。
誰にでもあるようで、その感情を言葉にすることは殆ど無いであろう心の深い部分の痛みや渇きや悲しみ。
そんな、思うようには癒せない何かが、淡々と慎重にそしてどこが無感情に描写されている文章に、いつの間にか引き込まれます。
今回はなぜか時空の歪みは感じません。
主人公の家福さんの佇まい、出てくる人物たちの少なさや描写のシンプルさが、より一層このすぐ横にありそうな日常のようで日常ではない、その心の深淵を見たくなり更に読み進めました。
52ページの短編はじっくり味わって読むには、物足りないくらい短い。
でも、最近集中力がなくなっている身には、心にかかる負担が少なく、読み終える達成を味わうことができたありがたい作品でした。
読み終えることができた。。。
その事実に、久しぶりの達成感と満足感を味わえました。
そして少し複雑な印象が残りました。
答えがあるようでない小説の終わりに。。。
これからも続いていくであろう日常の日々に。。。
ひとまず熱いコーヒーでも飲みましょうか。